卒展ディテール

南青山・スパイラルガーデンでの卒業・修了制作展は、本日最終日。



初日以来、連日大勢の方々がご来場くださり、
若々しい作品群の勢いに感動したり、表現の多様な広がりに感心したりしていただいています。
ところで、会場を埋め尽くす作品の迫力に、つい作品のディテールを見逃してしまいがちです。
大柄なプリント模様の美しさは格別ですが、
テキスタイルは、実は微細なテクスチャーにも美しさが潜んでいるのです。
会場では、作品の間近に寄り、目を凝らし、ディテールの美を発見してください。
見所のいくつかを紹介しましょう。


大学院2年生・伊藤蓮美さんの作品:


織物に使う絹糸は、一般に太さは80〜250デニールと言われています。
この作品は、2個または3個の繭からひいた糸、つまり6〜9デニールの糸で織り上げられています。


絹本来の美しさに迫った極限の織物です。





学部4年生・紅林みなみさんの作品:


小紋です。
遠目では無地に見えても、じつはスカートやズボン、リボン、クツ、メガネなど、
身につけるものがモチーフの「平成小紋」です。


小紋は型染めです。微細な模様を繰り返し彫り込んだ型紙を使った極限の染物です。





学部4年生・内田彩文音さんの作品:


透けるような捩り織(もじりおり)をベースに様々な素材の糸を織り込むことで、
素材と密度の違いから都会をイメージした作品を仕上げました。


織物は、経糸と緯糸が交わり、互いを押さえつけ合って成り立っていますが、
2本の経糸を“捩る”ことで、糸と糸が離れていても布が崩れず、薄い織物が出来上がります。
これが捩り織です。





学部4年生・安濃諒さんの作品:


経糸と緯糸の組み合わせを“組織”と呼びます。
ヨーグルトのシールなど、身近なものを顕微鏡で覗いて見えたパターンをヒントに、
糸を選び、組織を工夫することで豊かな表情の織物を生み出しました。



組織のアイディアがずらりと並んだこの作品に、テキスタイルのプロが必ず目をとめています。


(山梨の織物会社に勤めている卒業生と作者の組織談義が終わりません・・・組織は無限です)

ohashi




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